労働基準法
1 事業と労働者の定義 (第9条)
(1)労働基準法が、事業の種類を問わず、基本的にすべての事業に適用されます。
ただし、労働基準法の一部の条文に業種で適用が異なるものや、適用除外などの規定が定められています。
(2)事業とは、業として継続的に行われているものといい、業として継続的に行われていれば、営利を目的としない社会事業団体、宗教団体等も事業に当たります。なお、同居の親族のみを使用する事業には、労働基準法は適用されません。
(3)労働基準法の適用単位は、工場、支店等、場所的観念等で区分される事業単位となります。
(4)労働基準法が適用される労働者とは、①職業の種類を問わず、②事業または事務所に使用され、③賃金を支払われる者、をいいます。
※委託・請負契約であっても、実態から労働者と判断されれば、労働基準法の適用を受けることになります。
2 賃金とは (第11条)
(1)賃金とは、名称の如何を問わず、労働の対価として使用者が労働者に支払うすべてのものをいいます。
(2)就業規則などであらかじめ支給要件が明確に定められている賞与や退職金なども賃金に含まれます。
3 平均賃金について (第12条)
(1)平均賃金の算定方法
①原則
■平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日の前日から遡る3カ月間に、その労働者に対して支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいいます。
■賃金締切日がある場合は、その起算日は直前の賃金締切日です。
②最低保障
賃金の一部又は全部が日給制、時間給制又は出来高給制の場合は、平均賃金を算定すべき事由が発生した日の前日から遡る3カ月間に、その労働者に対し支払われた当該賃金の総額を、その期間の労働日数で除した金額の60%が最低保障となります。
③端数処理
一日分の平均賃金の算定で、銭位単位未満の端数が生じたときは、銭位未満の端数を切り捨てます。
(2)平均賃金を使用する主なケース
①解雇予告手当 (20条)
②休業手当(26条)
③年次有給休暇取得時の賃金(39条)
④災害補償 休業補償(76条)、障害補償(77条)、遺族補償(79条)、葬祭料(80条)、打ち切り補償(81条)及び分割補償(82条)
⑤減給の制裁(91条)
(3)起算日について
平均賃金を算定すべき事由の発生した日、すなわち平均賃金の起算日となる日は次のとおりです。
①解雇予告手当 労働者に解雇の通告をした日
②休業手当 その休業日
③年次有給休暇の賃金 その年次有給休暇を労働者が取得した日
④災害補償 死傷の原因たる事故発生の日又は診断によって疾病の発生が確定した日
⑤減給の制裁 制裁の意思表示が相手方に到達した日